左手の愛。
『まだ・・・思い出すのか?』
アナタは涙を無意識に流しているアタシに言った。
何を泣いているんだろう・・・?
自分でもよく・・・わからない。
何かを思い出しているのか、それとも何か違う感情なのか・・・。
なぜ、泣くの?何か悲しいの?アタシ・・・。
『わからない。アタシの中ではアノコトはケリがついてる。』
アタシは、ベッドで横たわっているアナタに伝える。
『じゃぁ、昔のこと?』
アナタはおいで・・・と手招きしてアタシは隣に寝転んだ。
涙は止まらない。
悲しいとかそんな感情も感じられないまま、ただ涙が出てくる。
昔のこと・・・?どのことを言っているの?
抱きしめられながら、呟く。
部屋の灯りは、間接照明とキャンドル照明だけ。
その中でアタシ達はベッドで寝転び、アナタは必ずアタシを抱きしめる。
たぶん・・・ひとりじゃないということを感じさせるためなんだと思う。
『情緒不安定ってとこね。どれが昔だかどれが不安だか悲しいんだかわからないってとこか。』
アナタは抱きしめながらそういった。
そうかもしれない。
自分でもよくわからない。
アタシはアナタの胸の中で考える。
ふと、アナタはアタシを胸から話すと言った。
『ユイ、ちゃんと感じられるでしょう?離れていてもユイは俺を感じることができるでしょう?
最近、どうして感覚を研ぎ澄まそうとしない?
その能力があるの生かそうとしない。ユイは今全てをシャットアウトしている。
だから、泣くんじゃないのか?思い出せば全て感じ取ってしまう。それが怖い。
だからシャットアウトして、必要なことすらも感じないようにしていることが切ないのじゃないのか?』
アタシの目から大粒の涙がこぼれ始めた。
さっき、無意識に流していた涙よりも今度は意識的にちゃんと流している。
そうかもしれない。
アタシは怖くて今全てをシャットアウトしているんだ・・・。
思い出せば感じ取ってしまう。
必要であることもそうでないことも今は振り分けられず、一気に流れこんできてしまうようになっている。
それが無意識のうちに怖いと感じてしまって泣いていたのかもしれない。
アタシの左手は感じ取る力が幼少期から備わっていて、左手、左腕にだけコントロール用のブレスがついている。
恐る恐る自分の左手をアナタの左手に重ね合わせる。
『大丈夫、感じ取っていいよ。俺は変わらない。』
アタシは泣きながら必死でアナタを感じようとした。
・・・・温かい感情。
・・・・穏やかな愛情。
アタシの左手から流れこんでくる感情は、優しくて。
ほっとして、アナタの胸に再び顔をうずめる。
ずっと、怖かった。もう人の感情や過去を読み取りたくないとさえ思ってた。
でも、ゆっくりとだけど怖さが消えていく。
『ユイ、覚えて。離れていても思えば感じあえる。繋がりあえることを。少しずつ左手をコントロールしていこう。
また前のように戻れる。今は焦らないこと。』
そっと、優しい言葉が降りてくる。
お互いの左手を絡ませあいながら、アタシ達はお互いの感覚を忘れないように感情に刻み込みあう。
アタシが流していた涙はいつのまにか消えてなくなっていた。
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